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バイオマス原燃料

 先に 日本国内のバイオマス発電 について、現状をリポートしました。次いで、このウェブページでは海外のバイオマス発電について調査した結果を報告します。
海外のバイオマス発電事情といっても、私どもが関心のあるのは海外で生産される再生可能エネルギー資源のうち日本に輸入して大規模発電に利用できるものについてです。

前のウェブページで示したように、日本では少なくとも現時点では熱エネルギーの需要より電力の需要のほうがはるかに大きいと考えられます。そのような莫大な電力需要に日本国内のバイオマスだけで対応するのはさまざまな困難があり、結局は海外のバイオマス資源大国で生産される原燃料にある程度は頼らざるを得なくなると思われます。

現在日本各地で操業中または計画中の大型バイオマス発電所の多くが港湾地区に建設されているのは、それら原燃料を海外から大量に輸入する際のコストを考えてのことでしょう。

木質ペレット

木質ペレット  木質ペレットは、木屑などを加熱・圧縮して長さ10mm〜25mmの円柱形に成形したものです(左の写真)。加熱・圧縮により含有水分が減少し、重量あたりの発熱量が大きくなります。
また形状が輸送に適しているので、産地から遠く離れた発電所でも利用できるようになりました。

木質ペレットは一般的に単位発熱量あたりの価格は重油よりかなり低いとされるので、原子力依存の低減をはかる欧州では火力発電所用に盛んに利用されています。近年は欧州では木質ペレットの需要増加により海外から大量の木質ペレットを輸入するようになりました。

それに対応し、アメリカ、カナダ、ロシア、ブラジルなど世界のバイオマス資源大国では年産数十万トンの大規模なペレット工場が続々と建設されているということです。

日本での木質ペレット生産は、年産1万トンクラスの工場がようやく稼動し始めた段階で、大多数は製材工場に付属する小規模工場で行われています。これでは海外のバイオマス資源大国での大規模生産にはとても太刀打ちできません。

別ページ 日本のバイオマス発電 で紹介した昭和シェル石油が川崎市港湾地区に建設中のバイオマス発電所では、主たる燃料は木質ペレットを利用し、そのほかに東南アジアから輸入するパームヤシ殻を使うとしています(パームヤシ殻については後述)。
このバイオマス発電所が港湾地区に建設されているのは、木質ペレットなどを海外から大量に輸入する際のコストを考えてのことでしょう。

現在日本では、木質ペレットは石炭火力発電所での混焼にかなりの量が使われています。関西電力では舞鶴の大型石炭火力発電所で木質ペレットを年間平均約3%(重量比)混焼しており、それに使う木質ペレットをカナダから年間6万トン輸入しているということです。
これにより、発電所のCO2排出量を年間約9.2万トン削減できるとしています。

日本国内の木質ペレット生産も年々急速に増加していますが、やはり大型のバイオマス発電所、混焼火力発電所では海外からの木質ペレットへの依存度が高くなると思われます。

パームヤシ殻

 これまで繰り返し述べたように、日本で大型のバイオマス発電所を稼動させるには海外からのバイオマス原燃料に頼らざるを得ないケースが多いと思われます。

その際は、私どもとしては日射が強く降雨量も多い熱帯地域でのバイオマス生産力を大いに利用したいところです。上記木質ペレットについても熱帯のアマゾン川流域の森林は莫大なポテンシャルがあるとされますが、現時点でもっとも有望視されているのはパームヤシやサトウキビなど油脂・蔗糖用の植物の利用です。

パームヤシ・バンチ マレーシア、インドネシア、フィリピンなど南洋諸国では、広大な農園でパームヤシ(アブラヤシ)を大規模に栽培しています。
パームヤシは、成木になると大きな葉の付け根にパームバンチという実房をつけます。パームバンチは左の写真のように長さ 4cm ぐらいの小さな実が500個ほども集まったもので、大きなものは重量が50kgほどにも達します。

実の果肉の部分からはパーム油という食用油が生産されますが、それは価格が安くしかも年間を通じての収穫が可能なことから世界中でもっとも多く使用されています。

パームヤシ殻 実の果肉の内部には、パームシェルと呼ばれる硬い種があります。パームシェルを割ると、その中には核(Kernel)と呼ばれるものがあり、それからも別種の油が生産されます。

パームシェルを割ったものはパームヤシ殻(PKS : Palm KernelShell)と呼ばれ、左の写真のように長さ3cmほどの硬い肉厚の殻です。

パームヤシ殻は熱量が高く同じ重量の石炭の60パーセントほどもあります。しかも十分な量が年間を通じて確保でき、その価格は非常に安いということで近年発電燃料や石炭混焼用として盛んに利用されています。

日本は毎年上記産地からパーム油を大量に輸入しており、産地の事情にも詳しくまたパーム油輸入のルートも確保しています。産地でパーム油製造につれて大量に発生しているパームヤシ殻を輸入するのは問題は少ないと思われます。

今後、パームヤシ殻は日本国内各所でバイオマス発電燃料や石炭火力発電混焼用として使用量が増加して行くと思われます。

バガスの利用

 サトウキビは熱帯地域を中心に広く栽培されており、2002年での世界生産量は12億9000万トンと小麦の生産量5億7000万トンの2倍以上に達します。
バガスは、畑で収穫したサトウキビから蔗糖のもととなる液体を絞りとった残り粕です。サトウキビの生産量に見合ってバガスのほうも毎年世界中で莫大な量が発生しています。

バガスの利用 バガスはこれまで生産地で砂糖工場の熱源として使う以外にはあまり用途がなく、大部分が砂糖工場の近くの原野に投棄されていたそうです。

しかし、バガスは硬い竹状の物質で残留糖分もあることから発熱量が高く、乾燥したものはkg当たり2000kcal もあるということです。価格も安く十分な量が簡単に入手できるので、近年はバイオマス発電の燃料として盛んに利用されています。

バガスは砂糖生産に随伴して工場から発生するので、集荷するコストがかかりません。また、バガスを世界に輸出するルートは、粗糖を世界に輸送するルートと同じで輸送上の問題はありません。

バガスの利用 バガスは、遠方のバイオマス発電所などに輸送する場合には通常左の写真のように直方体に圧縮成形し、強力なバンドをかけてまとめます。

このタイプのものは含水率が50パーセントくらいあり、発熱量は前記パームヤシ殻の半分くらいですが、熱量あたりの価格が安いメリットがあります。

バガスには、木質ペレットと同じように加熱圧縮してペレットの形状にしたバガスペレットもあります。
バガスペレットは、重量当たりの価格は高くなりますが、含水率が8パーセントほどに小さくなり、発熱量はkg当たり4000kcal に増加してパームヤシ殻と同等になります。

その他の農産物

 世界で大量に栽培・収穫される農産物としては、上記パームヤシ、サトウキビのほかにとうもろこし、小麦、米があります。とうもろこしは2011年度の統計によると全世界で8億7000万トンも収穫されており、小麦の世界生産量を大きく上回っています。
従ってとうもろこしの穂軸、茎、葉など莫大なバイオマスが毎年廃棄されているわけで、それらを発電用に利用できればと私どもは考えます。

しかし、残念ながらとうもろこしの穂軸、茎、葉などは概して密度が低く脂肪分が少ないので発熱量が低く、バイオマス発電の原燃料として使うには向いていません。
小麦の麦わら、米の場合のもみがら、稲わらなども同様で、毎年農産廃棄物として莫大な量が発生しますが、バイオマス発電の原燃料としてはあまり価値がありません。

それら農産物の生産国では、産地の近くにかなりの規模のバイオマス発電所を建設し、上記農産廃棄物を集荷して発電している例も多数あるようです。
しかし、それら低密度で発熱量が低い農産廃棄物を日本などに輸入して大規模バイオマス発電に使うのは採算にあわないでしょう。

バイオマス発電の原燃料

 このウェブページの最初で述べたように、日本で大型バイオマス発電所を運営して行くには日本国内で算出されるバイオマスだけではとても量が足らず、海外のバイオマス資源大国で生産される原燃料に頼らざるを得ないと思われます。

今回の調査で、今後日本でバイオマス発電用燃料として利用されるのは木質ペレット、パームヤシ殻、バガスの3品目が主力になりそうなことがわかりました。
現時点では、それらを利用したバイオマス発電のコストは石油/天然ガス火力発電と石炭火力発電の中間ぐらいになるということです。

バイオマス発電には、オーバーオールのCO2 削減効果があるという大メリットがあります。また上記のバイオマス発電用燃料を燃焼させても硫黄酸化物や窒素酸化物はほとんど排出されないので、公害防止の面でも大変優れています。

今後、国内各所で上記のバイオマス燃料を利用した発電所が多数建設されるでしょう。また、バイオマス燃料は石炭火力発電混焼用としても使用量が増えて行くと思われます。


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