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現在の電力供給状況

 2011年3月11日の東日本大地震後の原子力発電所の停止以来、日本の電力供給はひっぱくした状態が続いています。その間は主として原油や天然ガスを燃料とする火力発電で電力需要に対応してきましたが、2014年末ごろからその原油・天然ガスの価格が大幅に下落し、2012年ごろの高値の半値ぐらいになりました。

これは、原油・天然ガスのほとんどを海外から輸入している日本にとって発電用原燃料費の大幅削減につながり、やがては電力料金が値下げされることになるでしょう。
また、九州電力の川内原子力発電所の再稼動がこの夏にも予定されるなど、これまで停止していた原子力発電所も少しづつ稼動する動きがあります。

このように電力ひっぱくがやや小康状態になってきた現在、今後5年くらいを視野に入れて、できるところから電力供給の改善策をとってゆく必要があると思います。

自然エネルギー発電

 政府は今後原子力発電所の再稼動を進める方針ですが、将来的には原子力発電は2011年の大震災前よりかなり低い規模に抑える予定だそうです。今後は太陽光発電、風力発電など自然エネルギーを利用した発電をさらに推進することになります。

自然エネルギー発電の難点は、まず発電コストが火力発電より高いことです。原油・天然ガス価格下落により、自然エネルギー発電のコスト高がさらに問題になりそうです。
自然エネルギー発電のもう一つの問題は、発電量が時々刻々大きく変動することです。たとえば太陽光発電の場合、夏の日中に大きな発電量が得られても急に雷雨が発生すると十分ぐらいのうちに発電量がほとんどゼロになることもあります。

2014年10月、大手電力5社が、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)に基づく再生エネ発電電力の新規受け入れを管内全域で停止すると発表しました。電力各社は、認定された電力をすべて受け入れると需給バランスが崩れて周波数や電圧が乱れ、大規模停電や発送電設備の故障などにつながる恐れがあると述べています。

発電量変動平準化策

 現在民間を中心に大規模太陽光発電所(メガソーラー)の設置が急ピッチで進行しています。さらにこれまでに固定価格買い取り制度で認定された大規模太陽光発電所の設置申請は既設の何倍もあり、それらがそのまま設置されれば莫大な太陽光発電量が各電力会社のネットワークに流入することになります。

各電力会社としては、そのような不安定な発電量をそのまま自社のネットワークに受け入れたら管内の電力安定供給の責任が果たせなくなると恐れているのでしょう。
私ども電力利用者側から見ても、各電力会社の言い分はもっともと思われ、メガソーラーなど事業として太陽光発電を行い、それを各電力会社のネットワークに接続する場合はなんらかの発電量変動平準化策を講じていただきたいと考えます。

電力事業用蓄電池

 現在メガソーラーによっては、発電量平準化のために真昼の時間帯に太陽光発電量の一部をカットするピークカットを行っているところがあるようですが、これではせっかくの発電量の一部を利用せず、捨てることになります。
やはり、大規模太陽光発電所ではなんらかの蓄電池を設置することで真昼の時間帯などで過剰になった電力を一時貯蔵し、発電量が不足になったときに貯蔵した電力を放出する方式をとっていただきたいと思います。

そのためには太陽光発電量に見合ったかなりの容量の蓄電池(二次電池)が必要です。大規模太陽光発電所では価格の高い蓄電池設備を備えることになり、事業者の負担が大きくなります。また、蓄電池設備のサイズはかなり大きくなるので、それを収容するのに相当なスペースや建屋が必要になります。

現在は電気自動車に使われて需要が伸びているリチウムイオン電池がかなり低価格になったので、それを利用して太陽光発電の発電量平準化を行う動きが出てきました。

電力会社や私ども利用者としては、そのようにバッファ(発電量平準化設備)をもった大規模太陽光発電所は電力網にリスクを与える恐れが少ないので望ましいわけです。
国はバッファをもつ太陽光発電所からの電力はバッファのない太陽光発電所からの電力より若干高く買い入れるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。

電力会社側の蓄電池

 現在メガソーラーによっては、発電量平準化のために真昼の時間帯に太陽光発電

電力供給 左図は、昨2012年8月のある日における東京電力の電力供給状態を示すグラフです。

この日は朝方から晴れて気温が上昇したので、管内各所で空調機がいっせいに使われました。

それにより、9時から12時にかけて電力需要が急増したのが左図グラフから見て取れます。

その後も電力需要はじりじりと増加し、14時ごろにはこの日の最大需要5000万kwにまで達しました。この日は東京電力の最大供給能力は上図上部の黒線に示す5400万kwであったとのことで、電力供給の余裕は7.4パーセントしかなかったことになります。
昨2012年7月末には、梅雨明け後の猛暑により東京電力の電力供給余裕が5パーセントぐらいにまで切迫したこともあったそうです。

数年前には関東地方は記録的な猛暑に見舞われましたが、もしこの2013年の夏がそのような厳しさになれば東京電力の電力供給が一段と余裕がなくなる恐れもあります。

また、東京電力管内では現在は原子力発電所が稼動していないため、老朽火力発電所なども含めあらゆる従来型発電所をフルに稼動させています。
ところがだいたい火力発電所は、長期間にわたりフル稼動させるのはさまざまな問題があって難しいとされます。関西電力でも、2012年1月に堺にある大型火力発電所がトラブル発生で緊急停止したことがありました。2013年の夏は、大型火力発電所のトラブル発生がないようにと祈るばかりです。

深夜電力を蓄電

 東京都では、猪瀬知事が現在都心に近いところに大型天然ガス発電所を建設しようと提案しています。大変結構な話だと思いますが、その建設には莫大な経費がかかる上に最近は液化天然ガスの輸入コストが非常に大きいということです。
そして最大の問題は、その実現には早くても5年の年月が必要とされることです。

現実的には、原子力安全委員会の承認が得られた原子力発電所を暫定的にでも数年間再稼動させて時間を稼ぎながらさまざまな方策を探りたいところですが、それらの原子力発電所が最近は地下深くの断層が大問題になって再稼動もなかなか難しい状態です。

なにか、それほどの経費がかからず、比較的短時間のうちに、ある程度の電力供給の余裕が得られる方策はないでしょうか。そう思いつつ上記の電力供給グラフを見ていると、夜間の電力消費がピーク時に比較して半分に近いのに気がつきました。東京電力のウェブサイトを見ると、真夏には夜間の電力消費がピーク時の半分以下の日もあるようです。

私は、真冬には「この寒さを真夏まで保存しておく方法はないものか」と考えたりしています。それはまず実現不可能としても、「深夜の余剰電力を日盛りの時間帯まで蓄えておく」というのは実現できないでしょうか。

インターネットで調べると、少し前まではこのような「大規模蓄電」はコストがかかりすぎて通常の電力網に適用するのは現実的ではないとされたようですが、最近はリチウムイオン電池など優秀な二次電池が開発され、その価格も年を追って低下しているので、かなりの可能性が出てきたとのことでした。

前記のように、東京電力の昨2012年真夏の最大需要は5000万kwぐらいでした。その1パーセントにあたる50万kwを深夜時間帯に「蓄電」しておき、それを真昼の時間帯に電力網に放出することができれば、前記最大需要時の電力供給に余裕が出ます。

電気自動車用バッテリ

 大規模蓄電には既にかなり長い歴史があり、現在でも東北電力が「ナトリウム硫黄電池」という特殊な二次電池を使う方式で8万kwの大規模システムを運用しています。

それに対して、家庭の災害時電力システムや電気自動車に使われて需要が伸びているリチウムイオン電池を多数接続して大規模蓄電を行おうという動きも活発になっています。
この方式では、システムが簡単でその設置スペースも比較的小さくて済むとされるので、たとえば大都市の「丁目」ごとに設置するというような「分散型大規模蓄電」が実現できる可能性もあります。 このウェブページでは、そのリチウムイオン電池を多数使う大規模蓄電について現況を調べ、実現の可能性について検討しましょう。

なお、私はインターネットの技術者であり、電力システムの専門家ではありません。以下の検討は、その私が電力利用者の立場から近い将来に大規模蓄電が実現されるのを願いつつ行うものです。電力システムの専門家からご覧になれば、不十分な点もあるかも知れませんので、ご指摘くだされば幸いです。

電気自動車用のバッテリ まず現時点で利用可能な大容量リチウムイオン電池を調べましょう。
すぐに頭に浮かぶのは、最近徐々に普及が進んでいる電気自動車用のバッテリでしょう。日産自動車(株)の電気自動車 「リーフ」 は、容量24kwhのリチウムイオンバッテリ(左の写真)を搭載し、228kmの走行が可能ということです。

その電気自動車リーフ用のバッテリのデータは次の通りです。

 構成 48モジュール(192セル)
 定格電圧 360V
 電池容量 24kwh
 外形サイズ 118.8cm × 26.4cm × 157.0cm
 重量 294 kg

まず上記の外形サイズですが、これは幅157cm、奥行き118cmと相当なもので、私がふだん使っている両開きの本棚と同じくらいでした。その面積で高さ26cmのスペースに、リチウムイオン電池セルがぎっしりと詰められていると思われます。

そのサイズの大きさに見合ってバッテリの重量も大変なもので、なんと大人5人分にあたる294kgもあるということです。ちなみにガソリン車の場合は、1500ccクラスのエンジンの重量が120kgくらいだそうです。

大規模蓄電所

 上記日産リーフで使用しているリチウムイオンバッテリを多数接続して、ピーク時供給電力50万kwの「大規模蓄電所」を構成できるかどうかを考えましょう。

その蓄電所は、深夜電力時間帯の6時間に蓄電池に充電し、その後11時〜16時の気温が高い時間帯の6時間に東京電力の電力網に電力を供給するものとします。
このように6時間にわたって50万kwの電力を供給するには、各蓄電所のリチウムイオン電池は少なくとも300万kwhの蓄電量が必要です。実際にはリチウムイオン電池は過放電させるとダメージが大きいので、上記の倍の600万kwh分を設置することにします。

前記日産リーフで使用しているリチウムイオンバッテリは蓄電量が24kwhですから、この600万kwhの蓄電量を得るにはその蓄電所で日産リーフのリチウムイオンバッテリを25万個接続する必要があります。

リチウムイオン電池の価格
 リチウムイオン電池の価格は、現在毎年11パーセントづつ下落しているそうです。デジタルカメラ、携帯電話など民生機器用のリチウムイオン電池の価格が先行して下落していますが、最近は電気自動車用リチウムイオン電池も価格が大きく下落してきました。

ある調査結果をもとに、2015年度の電気自動車用リチウムイオン電池の価格を3万円/kwhと推定しましょう。すると、蓄電量が24kwhの日産リーフ用リチウムイオンバッテリは2015年度に価格が72万円くらいに下落すると推測されます。

前記のように、600万kwhの蓄電量を得るには日産リーフのリチウムイオンバッテリが25万個必要ですが、その価格は上記の単価予測によれば1800億円になります。

蓄電力販売利益
 上記の蓄電池購入費用に対して、蓄電力を東京電力に販売した場合の売買益はどのくらいになるのでしょうか。このような事業はこれまで例がないので、タイプが似通っている他の事業の場合から推定するほかありません。

まず、深夜の時間帯に東京電力から深夜電力を「仕入れる」場合の電気料金についてですが、東京電力のウェブサイトから 11.8円/kwh という大口需要者向け料金を見つけました。ちなみに同じ条件で日中に電力を仕入れる場合は 23円/kwh になるそうです。

それでは、蓄電池に充電した電力をその日の正午前後に東京電力に販売する場合の販売単価はどのくらいでしょうか。実はこれは上記仕入れ単価よりさらにわかりませんが、東京電力のウェブサイトにある「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」のデータがある程度の目安になるかと思います。
それによると、調達単価は3万kw未満の水力発電の場合が25.2円/kwh、1万5000kw以上の地熱発電の場合が27.2円/kwh となっています。ここではそれらの買取単価を参考にして、この蓄電力事業での蓄電力の販売単価を仕入れ単価11.8円/kwh より14円高い25.8円/kwh と考えましょう。

この蓄電力事業では、一日に300万kwhの深夜電力を仕入れ、同じく300万kwhの蓄電力を日中に販売します。上記のようにkwあたりの売却単価は仕入れ単価より14円高いので、300万kwhの売却により一日に4200万円の粗利益が得られることになります。

蓄電力事業の採算性
 その粗利益の全額をリチウムイオン電池の購入費用1800億円の返済に充てると、11.8年で購入費用の返済が終了することになります。
しかし、実際には、リチウムイオン電池を収める建物・土地、交直流変換機器など電気設備、人件費などがかかり、リチウムイオン電池の劣化による交換費用も必要なので、初期投資の償却には20年くらいの年月が必要かもしれません。

上記のように初期投資の償却に長年月を要するのでは、リチウムイオン電池を使った「蓄電事業」にはあまり意味がないといわれるかも知れません。
しかし、リチウムイオン電池は開発されてまだ間もなく、現在もなお盛んに研究開発が行われています。それにより、前記のようにリチウムイオン電池の価格は年率11パーセントほどで低下しつつあります。また、その性能、信頼性も年々向上しています。

いっぽう、東京電力など大手電力事業者による電力の料金は、今後はかなり高くなる予定です。そこで、数年後にはここに説明した「蓄電事業」はかなり採算がよくなり、たとえば開始後10年ぐらいのうちに黒字化する可能性もあるとも考えられます。

原子力発電所では、その発電量を変更するのは基本的に難しいとされます。また火力発電所では、発電量を変えるのはできないことではありませんが、一度燃焼炉や蒸気発生器を冷やすとエネルギー効率が非常に悪くなるということです。

その深夜電力を水の位置のエネルギーの形で保存するのが、揚水発電所です。しかし揚水発電所の適地は非常に限られており、今後新たな建設は難しいということです。
今回このウェブページで検討した「蓄電所」は、電力事業全体から見れば、深夜電力を有効利用するという点で揚水発電所と似た機能を持っています。

大規模蓄電所の大きさ

 最後に今回検討した大規模蓄電所を実現する場合、どのくらいの大きさの建屋が必要になるのかを概算しましょう。この蓄電所は上記のように50万kwの電力を6時間にわたって供給する能力を持っています。その供給力を実現するには、前記のように日産リーフで使用しているリチウムイオンバッテリを25万個必要とします。

ここでは概算のために、日産リーフのリチウムイオンバッテリを幅方向、奥行き方向、高さ方向にそれぞれ多数並べた場合を考えます。63× 63 × 63がほぼ250000になることから、そのバッテリをまず幅方向に63 個並べ、その列を奥行き方向に63列並べます。このようにリーフのバッテリを並べた平面は、幅が98.9m、奥行きが74mとなり、ほぼサッカーグラウンドと同じくらいの面積になります。
その平面に並べたバッテリを今度は高さ方向に63段積み重ねます。その高さは、ほぼ16.7mになります。これは、5階建てのビルの高さに当たります。

今回検討した蓄電所は、上記のように50万kwの電力を6時間にわたって供給する能力を想定しています。この電力は、最初に述べたように昨2012年真夏の最大需要5000万kwの1パーセントにあたる電力で、少し前の大型火力発電機の出力に相当します。

火力発電所は発電機のほかに燃焼炉、蒸気発生器、タービンなどさまざまな大型機械が必要で、また燃料を貯める大型タンク、タンカーを接岸させる埠頭なども必要ですが、蓄電所のほうは基本的にパッシブなシステムであり、上記バッテリ群を収容する建屋のほかには大型の施設は必要としません。

それを考えれば、蓄電所が必要とするスペースの大きさは容認できるのではないかと思います。現時点では、太陽光発電や風力発電では50万kwの電力を得るのは困難ですが、もしそれらの新エネルギーを利用して50万kwの発電所を建設したら、とても上記蓄電所のスペースでは済まないでしょう。

今後の展開

 現在スマートグリッドという名称で次世代の電力網の研究が進められていますが、それを実現するためにもリチウムイオン電池を使った「蓄電所」が必要になるでしょう。
ぜひ、5年後を目標に大規模な「蓄電事業」を検討すべきだと考えます。

その採算は、現時点では前記のようにあまりよくありませんが、予想されるリチウムイオンバッテリ価格の低下に従って次第に改善される見通しです。
この蓄電事業は、政府からも東京電力からも賛同を得られるはずであり、私ども利用者にとっても将来の電力供給安定化につながるプロジェクトといえるでしょう。

なお、太陽光発電や風力発電の出力変動を軽減するバッファとしてやや小規模なリチウムイオンバッテリ蓄電システムが今後次第に利用されると思われます。それら小規模蓄電システムをやや大型化して、深夜電力の蓄電も行うという方式も考えられます。
このような蓄電システムの今後の展開が期待されます。

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