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環太平洋火山帯

 太平洋の海底は太平洋プレートを中心とするいくつかの海洋プレートで覆われており、それらのプレートが徐々に周辺の大陸プレートや海洋プレートの下に沈み込んでいます。
その際に発生する莫大な摩擦熱により太平洋の周囲を取り巻く火山列島や火山群が形成されますが、それらを「環太平洋火山帯」と呼びます。

環太平洋火山帯(下図)では火山活動のほかに地震活動も活発であり、観測史上における超巨大地震のほぼ全てがこの火山帯で発生しています。2011年3月14日には日本の東北地方沖でM9.0の巨大地震が起こり、東日本一帯に大きな被害が発生しました。

巨大地震が浅海域で起こった場合には、その近くにある陸地の海岸に高い津波が押し寄せることがあります。上記2011年3月14日の東日本大地震では東日本から北海道にかけての沿岸が高さ16mもの大津波に襲われました。

環太平洋地震帯

1960年のチリ津波

 1960年5月、南米チリ中部沖の太平洋近海で長さ約1,000km・幅200kmの領域を震源域とする超巨大地震が起こりました。この地震の規模を示す「モーメントマグニチュード」は Mw9.5とのことですが、この数値は近代地震学の計器観測史上で世界最大であり、歴史地震を含めても最大級とされます。

この地震発生から15分後に約18mの津波がチリ沿岸部を襲いました。その後、津波は日本を含めた環太平洋全域に平均時速750kmで伝播し、各国で大きな被害が発生しました。ハワイ島のヒロ湾では津波は標高10.5mにまで到達し、住民61名が死亡しました。

1960年のチリ津波  日本ではチリで地震が発生してから約22時間後の5月24日未明に最大で6.1mの津波が三陸海岸沿岸を中心に襲来し、各地の海岸地域に大被害をもたらしました。

日本はチリから見て地球の真裏近くにあり、距離としては環太平洋域でもっとも遠い場所ですが、海底地形などの関係で津波が収斂しやすい位置にあったため、他の太平洋沿岸地域と比べて被害が大きかったということです。

1960年のチリ津波による被害が大きかったのはリアス式海岸の奥にある港で、岩手県大船渡市では53名、宮城県志津川町(現南三陸町)では41名が死亡しました。

1960年のチリ津波  1960年のチリ津波は、千葉県の太平洋岸にも押し寄せました。1960年5月24日早朝、津波は九十九里海岸などを襲い、就寝中の住民たちが罹災しました。

九十九里海岸の白子町では、津波が海岸に並行している県道の上1.2mにまで達しました。さらに津波は白子海岸に河口のある南白亀川を伝わって内陸に進入し、道路、農作物などにも甚大な被害を与えました。

白子海岸にある白子自然公園の入口に、「チリー津波の碑」が立っています(左の写真)。またいつかかならず襲ってくる大津波への警戒を忘れないように設けられたものです。

  55年前の当時では、日本の津波予測体制は現在のようには整備されていませんでした。チリ沖で大地震が発生した翌日、ハワイ島ヒロ湾に高さ10.5mの津波が襲来したというニュースは入ってきましたが、そこから6400kmも離れた日本の沿岸に6mを超える津波が押し寄せるとは当時の観測技術では予測できなかったのです。

結果として5月23日には、日本各地の沿岸では地震による揺れはまったくない状況で突然大津波に襲われることになり、死者行方不明者が142名にのぼる大災害になりました。
その後、当時の気象台長官が津波を予測できなかった責任をとって辞任することになりました。それを契機として、環太平洋全域での地震・津波の観測体制が次第に整備され、津波予測技術の向上が図られました。

東日本大地震の津波

東日本大地震の津波  上記1960年のチリ津波から51年経った2011年3月11日、チリ地震の発生した場所と同じく環太平洋火山帯に属する日本の東北地方沖でM9.0の巨大地震が起こりました。
その大地震により、東日本から北海道の沿岸が高さ16mもの大津波に襲われました。

その大津波は、かつて1960年のチリ津波が日本にまで伝播したように、環太平洋各国にまで波及したのでしょうか。
アメリカ西海岸・アラスカ津波警報センターによると、東日本大地震による津波は3月11日(日本時間12日)、アメリカ西海岸や中南米諸国に相次いで到達しました。

  • ハワイ諸島

     震源地である日本東北地方沖にもっとも近いハワイ諸島では、高さ3mの津波が押し寄せました。海岸のホテルのロビーが浸水しましたが、さいわい死者・負傷者はありませんでした。オアフ島ではこの津波で200隻前後の船が破損しました。

  • オレゴン州海岸

     アメリカ合衆国本土で震源地にもっとも近いオレゴン州海岸では、2mの津波を観測しました。津波で4人が流されましたが全員救助されました。

  • カリフォルニア州海岸

     カリフォルニア州太平洋岸でも、2メートルの津波を観測しました。デルノルテ郡では男性3人か海岸にいて津波で流されましたが2人は自力で岸にたどり着きました。 米カリフォルニア州北部で津波の写真撮影をしていて波にさらわれた25歳の男性が死亡しました。

  • インドネシア

     3月11日、日本時間の午後8時半ごろ高さ1.5mを超える津波を観測しました。この津波で25歳の男性が死亡し、5人が行方不明となりました。住宅20軒が壊れたり水に浸かる被害が出ました。
    津波が来る1時間前には警報が出され、住民の多くは高台に避難していました。

  • フィリピン

     日本時間の11日午後7時ごろ、フィリピンの沿岸に津波が到達し、40cmから60cmほど海面が隆起しているのが観測されました。

  • ペルー

     ペルー西部の太平洋岸に11日午後8時(日本時間12日午前10時)前、津波の第1波が到達しました。高さは15〜40センチ程度でした。

東日本大地震は、1960年のチリ大地震と比べれば、同じM9.0以上の巨大地震ではありますが地震の規模ははるかに小さいとのことです。そのため東日本大地震につれて発生した津波は、環太平洋諸国には1960年チリ津波ほどの被害はもたらさなかったのでしょう。

チリ津波ふたたび?

 チリ近海の太平洋はまさに地震の巣のような場所で、前記1960年のチリ大地震の後も2010年と2014年にM8.0以上の巨大地震が起こりました。そして、つい最近の2015年9月16日、チリ中部イヤペルの沖合でまたM8.0を超える地震が起こりました。
  • 2010年の大地震

     日本で東日本大地震が起こった2011年の前年、チリ中部の沿岸部でマグニチュード8.8の巨大地震が起き、地震と津波で500人以上が死亡しました。
    その津波が日本にまで伝播し、東北地方など各地で1mを超える津波が観測されました。それにより、養殖施設などに大きな被害が出ました。

  • 2015年9月の大地震

     チリ中部沖合でマグニチュード8.3の大地震が発生しました。地震につれて大津波が発生し、チリ・コキンボでは高さが6〜7mの津波で12人の死者が出ました。 その津波が日本に伝播し、日本・岩手県久慈港で0.8mの津波を観測しました。
以上は南米チリ近海で発生した巨大地震のよる津波の例ですが、チリの隣国ペルーでも古来M8.0以上の巨大地震が繰り返し起こってきました。
それら南米諸国の太平洋海域で発生した大津波が、今後も数十年に一度くらいの頻度で日本沿岸にまで伝播してくる恐れがあります。南米諸国と協力して、その海域での地震・津波の観測体制を強化する必要があるでしょう。

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