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日本の洋上風力発電

 2011年3月以来日本国内の原子力発電所はすべて停止し、再生可能エネルギーを利用した発電の可能性が多方面で検討されています。大型風車によりタービンを回転させて発電を行う風力発電もそれらの一つです。

銚子沖の洋上風力発電 風力発電は世界的に導入普及が進んいますが、国土が狭い日本では風況、送電線などの条件がよい場所はそう多くはないとされます。
そこで近年では日本でも従来からの陸上風力発電のみならず海上に風車を設置する洋上風力発電が盛んに研究されています。

洋上風力発電は、陸上風力発電と比較して一般に次のメリットがあります。

  • 風況が良く、風の乱れが小さい

  • 大型風車の導入が比較的容易

  • 景観、騒音への影響が小さい

  • 現在日本ではNEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が中心となって千葉県銚子沖及び福岡県北九州市沖の2ヶ所で洋上風況観測タワーと洋上風車を設置し、 風況観測や風力発電の実証研究を行っています。

    銚子沖の洋上風力発電

     千葉県銚子沖の実証実験施設(上の写真)は、外洋での洋上風力発電の問題点などを研究するために2009年からNEDOと東京電力(株)が事業を開始したものです。

    銚子沖の洋上風力発電 同施設は、銚子市犬吠崎沖合い3.1km、深さ11mの洋上に設置された洋上風力発電施設と洋上風況観測タワーから成っています。

    発電風車(左の写真)はローター直径92mの巨大なもので、それが海面からの高さ約80mの支柱に取り付けられています。したがって風車のブレードが真上に向いたときはその先端は海面から126mの高さに達することになります。

    発電風車およびその支柱は、海中の岩盤に置かれた直径21mのケーソン(重量5000トン)基盤に挿入されしっかりと固定されています。

    銚子沖の洋上風力発電 洋上風況観測タワーのほうは、海面からの高さ100mの鋼管トラス鉄塔で、風向・風速計など各種の観測装置を装備しています。

    海面からの高さ最大200メートルまでの上空の風向、風速を観測する能力を持っているそうです。

    これら発電風車、風況観測タワーは犬吠崎南側海岸から僅か3.1km先の沖に設置されています。海岸の少し高い場所から肉眼で見ることができますし、望遠レンズ付きのデジタルカメラならはっきりと撮影できます。最近は犬吠崎観光の目玉の一つになって、人が集まっているそうです。

    銚子沖サイトの風況

     銚子沖の洋上風力発電サイトは2013年3月に本格実証運転をスタートし、ただちに風車の回転状況、タービンの発電量などのデータを取り始めました。

    銚子地方は昔から沿岸部の風が強いことで知られており、沿岸部台地を中心に現在34基の風力発電装置が設置されています。銚子沖合では陸上部よりさらに風況がよく、長期の調査によって年間平均7m/sの風が吹いているのがわかっていました。

    一般に洋上の風は季節によって強さが変化しますが、日本の本州部では冬から春にかけてが強く夏季にはやや弱くなるのが普通です。年間の洋上風速の季節による変動幅は、本州部では通常40パーセントほどに達します。

    風力発電の発電量は風車に吹き付ける風速の3乗に比例します。ヨーロッパの西海岸では偏西風により8〜10m/sの平均風速が得られるということで、近年洋上風力発電が盛んに行われています。日本では残念ながらそれほど風況がよい場所は非常に少ないのですが、それでも年間平均風速が7m/sになる銚子沖合などでは、十分風力発電が採算に乗ると期待されています。

    銚子沖サイトの稼働

      インターネットで検索したところ、銚子沖洋上風力発電施設の2013年春の運転実績データが見つかりました。発電風車を設計製造した三菱重工(株)の技術レポートです。

    風力発電機が最も効率よく回転しているときの風速を定格風速と呼び、そのときの発電出力を定格出力といいます。銚子沖洋上風力発電施設の風車では定格出力は 2.4MW (2400kw) という設計になっています。

    風力発電量実績値と定格出力との比を設備利用率と呼びます。銚子沖洋上風力発電施設は実験施設なので調査研究とメンテナンスのための停止期間がありますが、下表では2013年3月から5月までの停止期間を除いた期間での設備利用率を示しています。

    下表から、この風車では通常運転時の設備利用率は春3ヶ月平均では44パーセントほどであったのが見て取れます。上記のように、本州部東岸では通常夏季には風が弱くなるので銚子沖洋上風力発電施設の設備利用率も下表よりやや低下すると思われます。

    2.4MW洋上風車の運転実績

     2013年 設備利用率(当月稼働日数ベース)
        3月  45.3%
        4月  53.2%
        5月  37.0%
    (参考)陸上風力  日本の一般的な施設利用率
     20〜25%

    上表の最後の列に、参考データとして陸上風力の場合のデータを掲載しています。日本の一般的な陸上風力発電施設での施設利用率は 20〜25% ほどといわれています。
    従って銚子沖洋上風力発電施設での施設利用率は一般的な陸上風力発電施設でのデータの2倍ほどに達していることになります。

    北九州沖洋上風力発電

    北九州沖洋上風力発電  NEDOは、銚子沖のほかにもう一つ日本海側でも洋上風力発電の実証実験を行っています。
    北九州市の沖合1.4km、水深14mの海域に銚子沖と同じように大型風車と観測タワーを建設するもので、日本海側での洋上風力の研究と台風の影響を受けやすい海域での風力発電の安定性確認などを目的としています。

    北九州沖サイトの発電風車はローター直径83mと銚子沖サイトの風車よりやや小さいもので、海面からの高さ80mの支柱に取り付けられています。
    発電風車の定格出力も銚子沖サイトの風車よりやや小さく2MW(2000kw)となっています。

    北九州沖洋上風力発電サイトは2013年3月に完工し、2013年6月から実証運転を開始しました。今後2年間をかけてこの施設で実証運転および各種の研究を行うということです。

    北九州沖洋上風力発電サイトは、実証運転を2013年6月に開始して以来すでに現時点まで1年以上になりますが、私がインターネットで検索した範囲では同サイトの設備利用率、風速測定データなどは見つけられませんでした。

    洋上風力発電の今後

    ヨーロッパの洋上風力  前記のように、ヨーロッパの西海岸では偏西風により8〜10m/sの平均風速が得られるうえに水深の浅い海域が広いということで、近年洋上風力発電が盛んに行われています(左の写真)。

    日本では残念ながらヨーロッパほど風況のよい場所が少なくまた遠浅の海域が狭いので、洋上に着床式の風力発電施設を建設するにも限界があるといわれます。

    しかし、最近の研究では日本でも着床式洋上風力発電に適している海域はかなりあり、たとえば銚子沖、九十九里海岸などでは相当な発電量が期待できるという説も出ています。

    日本ではまだ洋上風力発電の実績がないので、上記のような実証運転を数年行わないとどれほどの可能性があるのか見当がつかないというのが実情のようです。

    最近にいたって、日本では着床式洋上風力発電では限界があるという考えから海岸から遠く離れた深海域に「浮体式洋上風力発電施設」を設置するプロジェクトが動き始めました。
    こちらは福島沖などでようやく発電施設が建設されたばかりの状況で、これから数年間かけてデータを蓄積しつつ各種の研究を行う段階にあります。今後に期待したいと思います。


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