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電子書籍とは

 最近、インターネットなどで 「電子書籍」 という言葉をよく見かけるようになりました。従来の紙に印刷した書籍と同様のコンテンツを電子機器と接続した電子ペーパー、液晶ディスプレイなどの表示装置で閲読する方式を、電子書籍と総称しています。

現時点では、表示装置の種類によって、またコンテンツを蓄積しているサーバーと電子機器との通信の仕方によってさまざまな方式の電子書籍が提供されており、利用者が読みたいコンテンツや自分が所有している電子機器を考慮して適当な方式を選択しています。

電子書籍の利用者は急速に増加していますが、最近のデジタル機器の発展を反映して電子書籍のシステムは年々変化しつつあります。2012年における電子書籍の世界の動向を、以下に簡単にレポートします。

電子書籍の通信方式

 電子書籍のコンテンツは通常サーバーに蓄積されており、利用者は電子機器をそのサーバーに接続して必要なコンテンツを入手します。その際の通信の仕方には、次の二種類があります。  
  • ストリーミング方式
    電子書籍のコンテンツをサーバーから必要なだけ利用者の電子機器に取り込み、それを閲読した後、また次のコンテンツを取り込む方式。
    インターネットに常時接続したパソコンでは、通常この方式が利用される。

  • ダウンロード方式
    電子書籍のコンテンツを一括してサーバーから利用者の電子機器にダウンロードし、その後そのコンテンツを表示装置で閲読する方式。
    携帯電話を利用してコンテンツを入手する場合には、通常通信量に従って課金されるので、ストリーミング方式よりはこの方式が利用される。

電子書籍用の端末

 電子書籍のコンテンツをサーバーから取り込んで表示する端末としては、現在さまざまな情報機器が利用されています。  
  • パソコン
    パソコンの表示装置は画面が大きいので、電子書籍のコンテンツを表示するのに適しています。Windowsなどのプラットフォームで動作する電子書籍用のソフトウェア・ツール類が多数流通しています。

  • 携帯電話機
    これまで画面サイズの小さい携帯電話機は、いわゆるケータイ小説やコミックなどの表示に使われてきました。最近のスマートフォン(高機能携帯電話)では、画面サイズは4.3インチ以上となり、画面の解像度も高くなったこともあって従来の携帯電話機の2倍ほどの文字数を表示できるようになりました。

  • タブレット端末 
    タブレット端末とは、ここではキーボードを持たない薄型の小型端末に限定します。その代表格がApple社のiPad2です。iPad2は9.7インチ (250 mm)、1024x768 px の広い画面を持っており、コンテンツ・ビューワーとして十分な機能があります。
    しかし、その大きさと重量は携帯電子書籍端末としてはやや難があります。

  • 電子書籍リーダー 
    電子書籍のサーバーとの通信機能を備えた手のひらサイズの電子書籍リーダーが販売されています。最近アメリカAmazon社からE Ink社の電子ペーパーを採用したKindleという電子書籍リーダーが発売され、人気を呼んでいます。

閲覧に利用した端末

 2011年10月に株式会社ビデオリサーチが電子出版物の閲覧に関する調査を行いましたが、そのうち閲覧に利用した端末の調査結果は次のようになりました。
 
 閲覧に利用した端末 2011年(%) 2012年(%)
 パソコン(デスクトップ、ノート) 40.8 38.3
 携帯電話 48.8 35.4
 スマートフォン 18.6 35.4
 タブレット端末 8.2 14.6
 電子ブックリーダー 1.0 2.9

 
まず、この一年間でスマートフォンが普及したことにより、スマートフォンを利用して電子出版物を閲覧した人が多くなったのがわかります。スマートフォンが従来型の携帯電話の2倍ほどの文字数を表示でき、電子書籍の閲覧がしやすくなったためでしょう。

タブレット端末も、主としてApple社のiPad2の利用者が増加したのと対応する書籍コンテンツが多くなったのを反映して、上記スマートフォンと同じくらいの増加率を示しました。

ソニー・リーダー また、まだ利用者の絶対数は少ないですが、電子書籍閲覧専用の電子ブックリーダーも、この一年間でほぼ3倍に増加しています。

現時点では、日本国内ではソニー(株)がソニー・リーダーPRS-G1という画面6インチの電子ブックリーダーをを販売しています(左の写真)。
3G携帯電話機能とWi-Fi無線LAN機能を搭載しており、Reader Storeと称するサーバーから書籍コンテンツをダウンロードできます。
ソニー・リーダーPRS-G1は、安売り店では23000円ぐらいで売られているようです。

kddi また、携帯電話サービス大手のKDDIが、biblio Leaf SP02という携帯電話機能を持つ6型電子ブックリーダーを発表しています(左の写真)。
携帯電話サービス大手がみずから独自の端末を開発して電子書籍ビジネスに参入したという点が、おおいに注目されるところです。

このリーダーは視認性の高い電子ペーパーを採用しており、2Gバイトの内蔵メモリに3000冊の書籍コンテンツを入れて持ち歩けるということです。

こちらは、上記ソニー・リーダーより安い15000円くらいの価格で販売されているようです。

端末の重量、サイズ

 電子書籍用の端末は、基本的に自宅の外に携行して利用するものです。電車の中で片手で持って画面を見るというような使い方をするためには、まず端末のサイズはいわゆる「手のひらサイズ」以下であるのが望ましいでしょう。

その要件からは、画面サイズが9.7インチもあるiPad2などタブレット端末は、主として電子書籍の閲覧に使う端末にはなりにくいと思われます。またiPad2の重量は662グラムもあり、長時間手に持って閲覧することはできません。

新型携帯電話スマートフォンは、これまでの携帯電話より一回り大きい程度なので、携行性の点では問題ありません。また、重量も130グラムほどなので、長時間片手に持って閲覧することもできます。従って、テキスト量が小さいコンテンツやコミックなどの閲覧には、今後スマートフォンが広く利用されると予想されます。

本格的な小説やドキュメントなどの閲覧はスマートフォンでは難しく、電子書籍閲覧専用の電子ブックリーダーが必要になります。その電子ブックリーダーは、画面が6インチくらいの「手のひらサイズ」が主流になると思われます。

黒船 Kindle

 印刷出版物がたとえば1000円以下の価格で販売されているので、電子書籍用の情報機器はあまり高価では利用者に受け入れられません。

日本では今後電子書籍閲覧専用の電子ブックリーダーの普及がはじまると思われますが、その価格が読書家、業界関係者の関心の的になっています。

kindle Amazon社のKindleは、かねてより電子書籍の黒船といわれ、日本発売がうわさされてきましたが、業界筋によると2012年中の発売がほぼ決まったということです。

その機種は画面が6インチのKindle Touch(左の写真)で、価格は1万数千円、ドコモの 3G 通信が無料で利用できるといわれます。

Kindle Touchの重量は213グラムでスマートフォンよりはだいぶ重いですが、短時間なら片手でも持って閲覧できるでしょう。電車の座席に座って使う場合には、別に問題ありません。

電子書籍用の電子ブックリーダーの価格は、通信回線の料金、コンテンツ配信料金、画面表示の形式(モノクロ、カラー液晶)などと複雑に関係しており、直接の比較は困難です。
現時点では「6インチ画面で携帯電話機能つきの電子ブックリーダー」というのが市場の標準になりつつあり、その価格は15000円くらいが「相場」と思われます。

画像書き出し方式

 通常の情報機器は、インターネットなどから入手した文字情報のコードに従ってそれに対応する文字を画面に表示します。この方式を、テキスト表示といいます。

携帯ゲーム機、携帯電話機を含め、大多数の情報機器は、jpg、gifなどの画像ファイルを読み込んで表示する機能を持っています。そこで、電子書籍のコンテンツをテキスト表示ではなく画像情報にして上記の情報機器で表示しようというアイデアが出てきました。

あたかも印刷書籍の各ページを写真に撮影し、その画像ファイルを情報機器で読み込んで画面に表示するような方式で、画像書き出し方式と呼ばれています。

この方式の最大のメリットは、利用者が持っている情報機器がそのまま電子書籍のリーダーとして使える可能性が高いことです。電子書籍のコンテンツを組み替えてその情報機器の画面で表示できるように文字数、行数などを調整し、各ページの画面を次々に画像データとして書き出せばよいのです。

画像書き出しソフト

 電子書籍関係のさまざまなソフトウェアを開発している(株)ボイジャーが、T-Time 5.5というソフトを販売しています。これは、テキストファイル、HTMLファイル、ドットブック形式などの電子書籍ファイルを読みやすいフォントで縦書き表示したり、段組などを整えるソフトですが、上記の画像書き出し機能も持っています。

たとえば、インターネット上の電子図書館 青空文庫 から読みたい小説をテキスト形式で自分のパソコンにダウンロードし、このソフトを使って小説のテキストを自分が利用したい携帯機器の画面に合った画像ファイルの集まりに変換します。その画像ファイルを携帯機器のメモリカードに記録し、携帯機器の画面で表示すればよいのです。

T-Timeの基本部分は無料ですが、画像書き出し機能を利用するには1,050円のライセンスキーが必要です。画面が小さい難点はありますが、とりあえずは普通の携帯電話機、スマートフォンでも表示できるので、まずは試してご覧になったらいかがでしょうか。

表示機器としては、基本的には画像表示ができてメモリカードを持っているものなら使えるということで、なんと普通のデジタルカメラの液晶画面に電子書籍の小説や漫画を表示することもできるそうです(^_^)。

HTML5への対応

 現在、大多数のウェブページはHTML4という規格に沿って記述されていますが、次の世代の規格としてHTML5が予定されています。2012年5月の時点では、パソコン、新型携帯電話スマートフォン、iPad2などタブレット端末、電子書籍リーダーなど大多数のインターネット閲覧機器のブラウザがすでにHTML5に対応するようになっています。

前記電子書籍関係のソフトウェアを開発している(株)ボイジャーでは、2011年7月にHTML5に対応しているWebブラウザを利用した電子書籍ビューワ、Books in Browsersを発表しました。これは、テキストファイル、HTMLファイル、ドットブック形式などの電子書籍ファイルを、HTML5に対応しているWebブラウザでプラグインなどを追加インストールしなくてもそのまま閲読できるというものです。

これまで電子書籍のファイルを読むにはビューワやその関連プラグインなどをインストールする必要がありましたが、このシステムではHTML5対応Webブラウザを持つパソコン、スマートフォン、タブレット端末、電子書籍リーダーなどで直ちに閲読できるようになるということで、今後の展開が注目されます。

電子書籍の今後

 これまで、電子機器メーカー各社やインターネット・携帯電話サービス会社などが 電子書籍のマーケットを立ち上げようとしてきましたが、大多数は失敗に終わりました。
しかし、この2012年にいたって電子書籍をめぐる環境、情勢はかなり変わり、電子書籍普及の機運は熟してきたように感じられます。

まず、従来型の携帯電話の2倍ほどの文字数を表示できるスマートフォンが広く利用されるようになり、テキスト量が小さい電子書籍の閲覧が簡単にできるようになりました。それを見て、出版業界などが電子書籍コンテンツの提供に本腰を入れ始めました。

また、電子書籍の黒船といわれるAmazon社のKindleが年内に日本で発売されるのが確実視され、それを契機にして日本製の携帯電話機能つき電子ブックリーダー(てのひらサイズ)の動きも活発になっています。
それらに書籍コンテンツを提供する出版業界、通信サービスを提供するインターネット・携帯電話サービス会社なども、電子機器メーカーとの連携を強めており、次第に利用者が比較的低い価格で自分が希望する電子書籍コンテンツを入手できるようになってきました。

数年後には、この2012年が電子書籍元年であったといわれるようになるのかも知れません。読書家の皆さんの電子書籍への関心も、次第に高まりつつあるようです。

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