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コメの輸入国

 インターネットで調べていて、下に示すコメの輸入量が多い国の一覧表を目にしました。
下表で一番上にあるナイジェリアはアフリカ西部の国で、人口は日本より40パーセント近く多い1億7500万人です。南部のニジェール川デルタでは米作農業が盛んですが、その生産性が低いので急増する人口に追いつかず、コメを大量に輸入しているとのことです。

この傾向は他のアフリカ諸国でも同じで、たいていのアフリカの国々が現在アジアなどからコメを大量に輸入しているそうです。

下表で2番目にあるイランは、人口は日本の60パーセントほどに当たる7500万人です。この国も米作農業が盛んですが、やはり人口の増加に追いつけず、国家財政が苦しい中、コメを大量に輸入しています。下表で5番目にあるイラクでも、事情はほとんど同じです。

少々意外だったのが下表で3番目にあるフィリピンで、人口が日本の80パーセントほどに当たる9200万人のこの国がEU全体と同じくらいの量のコメを輸入しています。フィリピンは米作農業に適しているように思われますが、実際には干ばつ、洪水、台風 などの自然災害によりコメの生産は芳しくないということです。

コメの輸入量

 さて、上表の最後の行から、近年中国が他の国を大きく上回る量のコメを輸入しているのがわかります。人口が世界最大の中国は、世界でもっともコメの生産が多い国です。専門家によると、その中国ではコメの生産がコメの消費に追いつかないわけではありません。実は中国では生産されたコメが余っており、年々コメの貯蔵量が膨らんでいるそうです。

その理由は、まず中国では生産されたコメの価格が近隣のアジア諸国から輸入されるコメより高いことです。そのため、最近の中国では、価格を重視する用途には主としてアジア諸国などからの輸入米が使われているということです。

もう一つの理由は、中国国内の水田で近年重金属汚染の問題が深刻化するなど、中国で生産されたコメの安全性が問題になっていることです。中国の富裕層では、価格が高くても安全性が高く味もよい日本産のコメを使う人が増えているそうです。

コメの生産国と輸出国

 下のグラフは、2008年の統計ですが、世界各国のコメの生産量とその国内部でのコメの消費量を示すものです。生産量、消費量ともに世界の人口の1位、2位を占める中国とインドがとび抜けて大きいのが見てとれます。

それらのうち、中国については上記のように近年は実質的にコメの輸入国になりました。中国におけるコメの国内消費が莫大であるがために、現在では中国は世界のコメ輸入量の1./3ほども占めるほどのコメ輸入国になっています。

コメの生産国と輸出国  インドは、近年の農業技術の向上によりコメの生産量が増加し、国内消費をまかなって余裕ができたので、最近は世界最大のコメ輸出国になったとのことです。

左図グラフでコメ生産量が世界第3位のインドネシアについては、後に詳しく解説します。

左図グラフでコメ生産量が世界第4位のバングラデシュは、コメの生産は盛んですが、国内の人口増加によるコメ消費増をまかないきれず、コメ不足分を海外から輸入しています。

この点では、バングラデシュは、アフリカ諸国、フィリピンやイランと同じ状況にあるといえます。

 私どもは、コメ輸出国というと、まずインドシナ半島の国ベトナムやタイを思い浮かべます。上図グラフを見ると、ベトナムのコメ生産量はバングラデシュに次いで世界第5位、タイは世界第6位で、インドネシア、バングラデシュに比べればはるかに少なくなっています。

しかし、ベトナム、タイでは、国内の人口が比較的少ないのでコメ消費量はそれほど多くありません。そこで、かなり多量のコメを世界市場への輸出にまわすことができるのです。

インドネシアの場合

 インドネシアは、赤道直下の多数の島(1万以上)からなる島嶼国家です。人口は2億3000万人と日本の2倍近くもあり、世界第4位の人口大国です。
その国民の主食はコメで、国土の各所では稲作が盛んに行われて上記のグラフに見られるようにコメ生産量は世界第3位となっています。

インドネシア  インドネシアの国民は、昔の日本と同じで、コメをたくさん食べるということです。
20世紀の終わりごろから人口が急増するにつれ、インドネシアのコメ生産はコメの消費に追いつかなくなり、近年は慢性的にコメを大量に輸入しています。

コメ輸入量は、インドネシア国内でのコメ作柄がよいときはそれほどの量ではありませんが、コメ作柄が不良の年には東南アジアなどの輸出国から大量に輸入することになります。

インドネシアは、経常収支が赤字となる状況が続く中、コメ輸入代金の捻出に苦労しています。

インドネシアでのコメ増産

 インドネシアは赤道直下の国で降水量も多いので、コメは2毛作は当たり前、3毛作も行われています。また、水田の面積も日本の5倍ほどもあるとのことです。
そのインドネシアでは上記のように人口は日本の2倍で国民1人当たりのコメの消費量は日本人の2倍だそうですが、それにしても私どもにはインドネシアがコメ不足で外国からコメを輸入する必要があるのが不思議のように思われます。

最近、インターネットで、日本のコメの専門家がインドネシアで調査を行ったレポートを目にしました。結論からいうと、現在のインドネシアのコメ農業では2毛作をしているにもかかわらず反収(面積当たり収量)は日本の半分程度しかないとのことでした。

日本のコメ農業資本を導入し、日本の優れたコメ農業技術で生産性を向上させれば、シンガポール、香港、中国など大市場にすぐ海運でいけるインドネシアはアジアの穀物大輸出国となる可能性があるとのことでした。

インドネシアは、四季がないので通年田植えができ、もちろん収穫も 「通年新米出荷」 が可能だそうです。インドネシアは山地も多く水田の標高差もあるので、それを利用していろいろな種類のコメを同時に栽培できるとのことです。
日本では梅雨どきから夏にかけては 「かなり古いコメ」 が流通しているが、それに比べればインドネシアの 「通年新米」 のほうが美味しいのではないかと書いてありました。

ベトナムのコメ農業

 ベトナムでは、コメは1986年には1ha当たり2.81tしか収穫できず、コメを輸入していました。近年の農業技術の向上によりコメの収量は大幅に増加して2011年には1ha当たり5.3トンを収穫できるようになり、年に700万トンを輸出する国となりました。

インターネットで、日本のコメの専門家がベトナムで調査を行ったレポートを見つけました。同レポートには、 「現在のベトナムの農業の状況は、日本が高度経済成長に向かい始めた1960年代初め(昭和30年代半ば)のころに近いという印象を受けた」 と述べています。

現在の日本のコメ農業では、コメの収量は平均1ha当たり6トンほどです。ベトナムでは2毛作、3毛作でコメを作っているにもかかわらず、収量は単毛作の日本に及ばないのです。

ベトナムでは、主としてハノイ近郊の紅河デルタと南部ベトナムのメコンデルタでコメが生産されています。メコンデルタではほ場の区画も大きく機械化もされていますが、全体としてはコメ農業は近代化が遅れているとのことです。

最近は、メコン川流域を中心に日本の農業系商社が進出し、現地の輸出入公団と合弁会社を設立して大規模稲作をしているそうです。精米工場は低温倉庫を備え、原料米の品質保持を行っています。それを日本製の精米設備で高品質の精米にし、1年間を通じて安定した品質の製品をアジア諸国をはじめ、北米、欧州などに輸出しています。

以上はベトナムでのコメ生産事情ですが、同じインドシナ半島のコメ輸出国タイでは北部のチェンマイ、チェンライなどでジャポニカ米が盛んに作られています。
タイをはじめアジア諸国では最近は空前の日本食ブームとなっており、品質のよいコシヒカリなどジャポニカ米の不足が深刻化しています。そこで、やはり日本の農業系商社がタイに進出してジャポニカ米の生産を始めているとのことです。

海外でのコメ農業展開

 さて、日本は長いコメ農業の歴史を持ち、美味しくて安全性の高いコメを作る技術を蓄積してきました。日本のコメ農業の生産性は、水田の面積が大きくない割にはかなり高く、世界でも優秀なレベルを誇っています。

しかし、日本のコメ消費は人口の減少傾向などから長期にわたって低迷しており、今後も増加することはないと思われます。その状況下で、海外コメ輸出国からはTPPによりコメの輸入枠を増加するように迫られています。

海外に目を転ずると、上記のように多くの発展途上国では人口の急増により消費するコメの量が自国で生産するコメを上回る状態が続いています。それらの国々では、国家財政が厳しい中、外国からコメを輸入するほかない状況なのです。

コメは味がよく栄養の点でも申し分ない優れた食糧です。 発展途上国でのコメ作りに日本の農業資本と優秀な農業技術を提供すれば、安価で安全性の高いコメが大量に生産でき、それらの国の国民には大いに感謝されるでしょう。またそれらの国のひっぱくしている財政にとっても大変な援助になることでしょう。

また、日本のコメ農業にとっても、その技術をフルに発揮できる場となって、大きなメリットがあると思われます。日本の農業行政にとっても、後ろ向きの補助金に予算を使うよりは、このような海外生産を支援するほうが将来性があると思うのですが、いかがでしょうか。

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