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 もう10年近くも前のことになりますが、たまたまNHKテレビでスペインの民族舞踊フラメンコを目にしました。ダンサーはもう若くない女性で、失礼ながらビヤ樽のような体形でしたが、ギターの伴奏と手拍子に乗って踊り始めると、私のような素人が見ても一分の隙もない情熱にあふれた舞踊で、思わず胸が熱くなるのを感じました。

以来、ぜひ一度は本場スペインでフラメンコを見たいと願ってきました。今回のスペイン旅行にあたって調べると、フラメンコはスペイン南部アンダルシア地方が発祥の地ですが、もちろん首都マドリードでも観られるとのことでした。
マドリードのフラメンコは、クラシックバレエを取り込むことで洗練された舞踊となり、私ども外国の素人にも理解しやすいという話も聞きました。

そこで、東京を発つ前に旅行会社を介して現地の老舗フラメンコ・タブラオ(フラメンコを見せる専用のレストラン)の予約をとりました。その料金は、1ドリンク付きで一人日本円で6500円ほどでした。

フラメンコとは

 民族音楽・舞踊の多いスペインですが、それらの中でもっとも有名なのがフラメンコです。スペイン南部のアンダルシア地方に定住したジプシーの音楽が、もともとその土地にあった民族音楽と融合して形成されたといわれます。

私ども日本人には、フラメンコというと、まずダイナミックな舞踊があって、それをギターと歌と手拍子で盛り立てるというイメージがありますが、原型は歌と手拍子だけだったそうです。その後ギターが加わり、さらにスペインの民族舞踊が加わり、また観光客用にショーアップされて現在の形になったようです。

フラメンコ・タブラオ
フラメンコ・ショー

 なにしろ宵っ張りで有名なスペインのことで、この種のショーやコンサートは夜10時ごろから始まるのが普通です。

そして、最初は前座のダンサーなどが出演し、12時を回ったころから真打が登場して大いに盛り上がるのだそうです。

当地の住人は、夏時間に慣れている上にシェスタ(昼寝)をする習慣があるのでこれでよいのでしょうが、私ども旅行者は知らない土地での深夜は少々不安です。

また、次の日朝早くから他の予定があるので、なるべく早くホテルに帰りたいのです。

そこで、もっと早い時間帯でフラメンコを観られないかインターネットで少し調べたのですが、見つかりませんでした。

さて、私どもが予約したタブラオは、当地でも格が高いといわれるコーラル・デ・ラ・モレリアという店でした。ホテルから簡単に地下鉄で行けるところでしたが、安全のために行き帰りともにタクシーを利用しました。

店は50席ほどの大きさで、コーナーのところに小さな舞台があり、そこだけにライティングがしてありました。周りの壁に、これまで出演した著名ダンサーや来店した有名人の写真が貼ってあります。また上の写真の双頭のワシは、かつて栄華を誇ったスペイン・ハプスブルグ家のマークだそうです。

フラメンコの舞台
フラメンコの舞台

 店で出されたすばらしい赤ワインを飲みながら待っていると、10時半ごろ舞台に男性の出演者が4人上がってきました。2人が歌手、残り2人がギタリストのようです。

歌手は歌いつつときどき手拍子を入れます。フラメンコではこの手拍子が歌と同じくらい重要で、手拍子専門の出演者もいるそうです。手拍子は、店の隅々まで響き渡るような音でさまざまなリズムを刻みます。

時には立ち上がって、歌いながら手拍子を打つとともに足で舞台を鋭く蹴ります。この音も大変明瞭なのに驚きました。

若手のダンス (1)
若手のダンス (1)

 やがて拍手とともにダンサーたちが舞台に上がってきました。全員女性で、華やかなフラメンコの衣装を着けています。

20歳前後の若手が2人、30歳ぐらいのダンサーが一人、40歳ぐらいのベテランダンサーが一人というメンバーです。

まず、赤い髪飾りをつけた若手がカスタネットを手に踊り始めました。さすが若さで、狭い舞台を飛び出さんばかりの勢いで、長い腕を大きく振って踊ります。
他のダンサーたちは、舞台上のいすに座って歌と手拍子で踊り手を盛り上げます。

若手のダンス (2)
若手のダンス (2)

 そのダンスが終了し、踊り手が拍手に応えて見得をきってから座ると、次の若手が立ち上がって踊り始めました。
こちらも左の写真の通り、手足の長いすばらしいスタイルです。

フラメンコは、手の動きばかりではなく足技もすばらしく、細かいステップを踏んだり舞台を踏み鳴らしたりとさまざまな表現を見せます。ときには両手で自分の太ももを激しくたたいて音を出します。
私ども日本人の想像をはるかに上回る激しいダンスを夢中になって見つめ、それが終わると手が痛くなるほど拍手をしました。

ベテランのダンス
ベテランのダンス

 やがて、ベテランのダンサー2人が踊り始めました。さすがに若いダンサーのような激しい動きはもうせず、じっくりと観客に見せるダンスを披露します。

写真右側のベテランダンサーが掛けている白いショールのようなものは、なにかダンサーのランクを示すものなのでしょうか。

二人の男性歌手の声は、腹の底から出るような重量感のあるものでした。その歌声と激しい手拍子、足拍子を織り交ぜて、ダンサーの踊りを励まします。マイクはまったく使わず、みな肉声のみで歌いとおします。

真打登場
真打登場

 12時を過ぎたころ、この夜の真打が登場しました。夫婦と思われる男女のダンサーで、私ども素人にもさすが真打と感じさせるダンスを見せます。最初2人のデュエットで踊った後、次は女性だけのダンス、最後は男性だけのダンスを踊りました。

次にダンサー夫婦の娘さんのアルバちゃんという可愛らしいダンサーが出てきたので、やんやの喝采です。アルバちゃんもその声援に応えて、懸命の熱演を見せました。

最後に、親子三人そろって舞台の前の方に出て観客の拍手に応えました。

フラメンコ・ギター
フラメンコ・ギター

 フラメンコの伴奏をするギターは、一般のクラシックギターとはつくりが少し違うのだそうです。基本的にマイクなしで演奏するので、歌手の歌声、手拍子、足拍子、会場の騒音に負けない音量を最優先に設計されていると聞いたことがあります。

演奏を終わったギタリストが近くにきたので、写真を撮らせていただきました。このベテランのギタリストは、実に切れ味のすばらしい演奏を聞かせてくれました。
もう一人の若手ギタリストは、まだ修行中でしょうか、演奏はベテランにはとても及びませんでした。

ホテルに帰る

 タブラオのなかは暗いうえに、フラメンコのダンスは動きが速いので、フラッシュなしで写真を撮るのには苦労しました。たくさん写真をとりましたが、それらのうちでやっとなんとか使える写真を選んで、このページに掲載しました。
最後のギタリストの写真は、たまたま彼が舞台から降りて私どもの席の近くにきたので、フラッシュを使って撮影しました。この写真の品質が、他の写真よりずっと優れているのがお分かりになると思います。

明日は、朝一番でソフィア王妃美術館にピカソの名画 《ゲルニカ》 を見に行くので、早くホテルに帰らなければなりません。店の人に近くの通りでタクシーを止めてもらい、それに乗ってホテルに向かいました。

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