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オーストリア・ザルツブルグ
 オペラ 《魔笛》 
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モーツアルトの最後の年
モーツアルトの最後の年

 ウィーン国立歌劇場の今宵の演目は、モーツァルト作曲のオペラ 《魔笛》 です。

大天才モーツァルトは1791年に35歳の若さでこの世を去りましたが、その最後の年にオペラ 《皇帝ティトの慈悲》 と大作 《魔笛》 をほぼ並行して作曲しました。その後9月ごろ、クラリネットの名作として有名なクラリネット協奏曲を作曲し、次に最後の大作 《レクイエム》 に着手しました。

12月に入るとモーツァルトの病状は悪化し、5日に 《レクイエム》 は未完のままこの世を去りました。

音楽史上に輝くこれらの傑作をわずか一年の間に作曲したというのですから、大天才のすさまじい創造エネルギーに感嘆するほかありません。

オペラ 『魔笛』
オペラ 《魔笛》

 映画 《アマデウス》 にも描かれているように、 《魔笛》 はウィーンの興行師シッカネーダーの注文に応じて作曲されました。
シッカネーダーが持ち込んだ 《魔笛》 のテキストは、方々で見かけた物語や脚本をつなぎ合わせたようなもので、ストーリーに一貫性がなく、登場人物のキャラクターも明瞭ではありません。

あまり上等ではないそのテキストに、モーツァルトは神々しいまでの壮麗な音楽をつけてやりました。モーツァルトの他のオペラも含め、この世にはこれほど音楽の密度の高いオペラは他にないと思います。

オーケストラ

 開演の時刻が迫り、舞台と客席の間にあるオーケストラボックスに、ウィーン国立歌劇場管弦楽団のメンバーが全員入ってきました。

オペラにおいて、歌手と共演するオーケストラの重要性はいうまでもありません。ウィーン国立歌劇場では、年間に約300回のオペラ・バレーの公演をしていますが、それらのためのオーケストラ共演は、専属のウィーン国立歌劇場管弦楽団が担当しています。
同管弦楽団は定員150名で、かつてはグスタフ・マーラーやリヒャルト・シュトラウスが指揮をしたこともある名門オーケストラです。現在は、小澤征爾さんが音楽監督をしていらっしゃいます。

ヨーロッパのオーケストラには、二種類の系統があります。一つは、ベルリンフィルのように、主としてコンサートホールでの演奏を行ってきたオーケストラです。もう一方は、ウィーン国立歌劇場管弦楽団のように、オペラハウスでのオペラ・バレーとの共演を主たる活動としてきたオーケストラです。

世界有数のコンサートオーケストラであるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団は、コンサートステージでの活動のためにこのウィーン国立歌劇場管弦楽団を母体として結成された自主運営団体です。

オーケストラ

 やがて、本日の指揮者が拍手に迎えられて登場し、オペラ 《魔笛》 の序曲が始まりました。指揮者は、ミヒャエル・ハラースというチェコ出身の人で、オペラをはじめシンフォニーなどにも大きな実績があるとのことです。

長年あこがれてきたオペラの序曲なので一心に聴き入りましたが、どうもオーケストラの鳴りが悪く、今ひとつ盛り上がりに賭けます。本年のオペラシーズンに入ったばかりなので、まだ調子が出ない、ということもないでしょうが。

序曲に続いて、幕が上がり、大蛇に追われた王子タミーノが登場します。映画でいえば二枚目に当たるみずみずしいテノールの役で、本日はシュトレールという若手が演じました。ところが、このテノールもなんとなく声に伸びを欠き、スケールの大きさを感じさせません。後でこの日のプログラムを見ると、"Hausdebuts" という欄にこの人の名前が書かれてありました。ウィーン国立歌劇場に今回はじめて登場したということでしょう。

ここまでやや盛り上がりに欠けていましたが、次に登場した夜の女王の三人の侍女がなかなかの力演で、舞台は一挙に引き締まりました。その後、オペラ 《魔笛》 の人気者鳥刺しパパゲーノが登場し、舞台と客席とは一体になって行きました。

第一幕で最大の拍手を博したのは、有名な「夜の女王のアリア」でした。夜の女王役はジェーン・アーチバルドというカナダのコロラトゥーラ・ソプラノでしたが、格調の高さ、スケールの大きさともに申し分ありませんでした。コロラトゥーラ・ソプラノの歌曲というのはこの曲以外に多数ありますが、技巧に走るだけで芸術的にはレベルが低いものが大多数です。このモーツァルトの「夜の女王のアリア」は、まさに例外中の例外の大傑作といえましょう。

第一幕のカーテンコール

 第一幕は、高僧ザラストロが神殿の前で裁きを言い渡す荘重なアリアを歌い、登場人物が皆でザラストロの徳を讃えて合唱する中で幕となりました。
その後幕が下り、その前に出演者一同が並んで観客からの熱烈な拍手に応えて礼をします。このカーテンコールも、オペラ観劇の大きな楽しみの一つです。

第一幕のカーテンコール

上の写真で、中央に緩やかな服を着ている体の大きな人が高僧ザラストロで、本日はアイン・アンガーというバス歌手が演じました。
その左が女主人公パミーナで、ラウラ・タツレスクというソプラノが演じました。そのさらに左が主人公王子タミーノです。
左の端のほうに、夜の女王と、鳥刺しパパゲーノがいます。本日はヴォルフガング・バンクルというバス歌手がパパゲーノを演じましたが、はまり役で大人気でした。

オペラ 《魔笛》 は全体で3時間近い大作なので、第一幕と第二幕の間にインターミッション(中休み)が設けられています。この間に、観客、出演者ともに一休みするわけです。
館内には下の写真のような立派な休憩室があり、私どももそこでコーヒーを飲んで一休みしました。この部屋の隅に大作曲家ヴェルディの胸像が置いてありました。

インターミッション

第二幕のフィナーレ

 第二幕は、高僧ザラストロが王子タミーノに課した試練を中心にストーリーが進行します。その中で、夜の女王のアリアがまたあり、鳥刺しパパゲーノの「恋人か女房がいればいいな」のアリアなどが大拍手を博します。

最後になって、夜の女王と侍女たちは神殿の光に照らされてその力には勝てず消え去ります。ザラストロが、太陽が夜に打ち勝ったと宣言する堂々たるアリアを歌い、一同が合唱してフィナーレとなります。

オペラ 《魔笛》 は、第一幕のフィナーレ、第二幕のフィナーレはともに高僧ザラストロ役のバス歌手の堂々たるアリアで始まり、オーケストラがその力をフルに発揮して合唱と共演します。何度聴いても大天才モーツアルトのすさまじい集中力を感じる他ありません。後にベートーベンは 《魔笛》 をみて絶賛したそうですが、私どももまた同じ感動を味わいます。

第二幕のフィナーレ


モパミーナ役のソプラノ
パミーナ役のソプラノ

 その後、出演者個別のカーテンコールがありました。写真はパミーナ役のソプラノ タツレスクです。第二幕でパミーナが、試練を受けている最中のタミーノが口を利いてくれない、もう私は愛想をつかされたのだ、と勘違いします。絶望したパミーナは、母から渡された剣で自殺を計ります。

その場面でパミーナが歌う悲痛なアリアは、モーツアルトのすべての歌曲の中でも指折りの名歌です。タツレスクは、このアリアをすばらしい表現力と声量で歌い、カーテンコールで出演者中最大の拍手を浴びました。

他のカーテンコール

三人の童子 三人の侍女

 このオペラの方々で可愛らしい姿を現し、重要な進行役を務める「三人の童子たち」です。ウィーン国立歌劇場では、伝統的にウィーン少年合唱団のメンバーから三人の少年歌手を選んでいます。  「夜の女王の三人の侍女たち」です。オペラが始まってまもなく、王子タミーノが失神している間に登場し、大蛇を追い払います。
力強いコーラスを披露し、舞台は一挙に引き締まりました。


夜の女王 鳥刺しパパゲーノ

 「夜の女王」役のソプラノ アーチバルドさんです。スケールの大きなコロラトゥーラで、大喝采でした。 《フィガロの結婚》 のスザンナ役でも出演しているとのことです。  ご存知、 《魔笛》 の人気者、鳥刺しパパゲーノ役のヴォルフガング・バンクルです。大分太めの体型ですが、それがパパゲーノ役にぴったりで、大拍手を博しました。

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